#49  HappyEnergy的 ペットの殺処分0キャンペーン 第1回 ちばわんさんに行ってみた

岡山のペットの生態販売を辞めたペットショップ「シュシュ」さんの取材以降、僕たちもなにかできることがあるのではなかろうか?とカレーを作りながら考えていました。
まずは、情報収集といことでグーグル先生に「里親マッチング」をお尋ねしてみたところ、すごい数の団体とイベントが首都圏で活動されているんです。
こりゃわからん!ということで得意のフィールドワーク。
たどり着いた結論が・・・
 「ものすごく気軽に参加できる」
 「人当たりのマイルドな方々が運営している」
 「ちゃんと運営している」
を満たすHappyEnergyおすすめの団体さんをご紹介していこう!となりました。
ということで記念すべき第1回は、千葉県を中心に活動されている「ちばわん」さん。

会場を訪れて、まず印象的だったのが犬たちがとても健康的で伸び伸びしていることでした。どの子も黄色いバンダナをつけていて、まるでキャンプ場の雰囲気です。

お邪魔したのは、気持ちのいい土手で開催されていた‟いぬ親会”
ボランティア団体ちばわんが毎週開催している保護犬の譲渡会です。
青空の下でお会いしたちばわん代表の扇田桂代さんは、15年継続して来た‟殺処分0”を目指す活動とその信念を爽やかに話て下さいました。

ちばわんとは?

―ちばわんでは、年間300~400匹の犬たちを譲渡しているんですよね?凄い数ですね!

扇田さん(以下、扇田):そうですね。動物愛護センターから保護された犬猫の家族探しと、殺処分0を目指して不妊・去勢手術の推進もしています。地域猫の不妊・去勢活動もその一つで、野良猫を捕獲して手術して離したりとか。
今では250名を越えるのボランティアさんが一緒に活動してくれています。

─この会場にいる子たちは皆、動物愛護センターにいた犬たちなんですか?

扇田:ほぼ全部そうです。処分されていたかもしれない子たち。
毎週1回、うちのメンバーが千葉県の動物愛護センターに引き取りに行くんです。1、2匹の時もあるし、5匹10匹の時もある。それを運搬ボランティアさんが預かりボランティアさん(略して預かりさん)のお宅に運んでくれて、預かりさんが今日のような譲渡会に連れて来て下さる。毎週あちこちでやってるんですけど、皆さん頑張って連れて来て下さるので、犬もだんだん社交的になっていく感じですね。

─この譲渡会ではどんな流れで家族が決まるんですか?

扇田:いぬ親さん(里親のこと)は、アンケートに家族構成とかお住まいとかを記入して、まずはちばわんスタッフと簡単な面接的な事をして頂きます。その後、またアンケートを持って預かりさんのところに戻って、今度は犬と預かりさんと一緒に歩いて貰ったり、コミュニケーションを取ってみて貰います。
その方にいぬ親さんになって貰うかどうかの判断は預かりさんにお任せしています。基準は、自分より幸せにしてくれるかどうか。

─それはある意味、凄い厳しいチェック機能ですね。娘を嫁に出すみたいな。

扇田:たぶん預かりさんがその子のことを一番分かってくれていますからね。皆さん、きっと厳しくやって下さっているんじゃないかと思います。
それに、預かりさんの半分ぐらいが元いぬ親さんなんですよね。一匹引き取っちゃったからもう飼えないけど、一時預かりならって。だから結構、先住犬がうちの卒業生ってケースも多いんです。そういう広がりが嬉しいですね。

活動のはじまり

─扇田さんがちばわんをはじめたきっかけは?

扇田:千葉県のとある場所にあった保護施設が破綻して、100匹位の犬が多頭飼育現場みたいな酷い状況におかれているって聞いて、運転ボランティアで行ってみたのがきっかけです。その頃はまだこんな活動はしていなくて、本当に軽い気持ちで。

─実際、行ってみてどうだったんですか?

扇田:とても汚れた犬たちがいっぱいいて、死体もあったりして、もうみんな皮膚病とかで…。気になっちゃって、初めの半年はご飯だけ運びました。でもそれでは何も根本的な問題を解決してないんですよね。そこでまた新しい命が生まれて、悪循環が続く。
それで、半年くらい悩みに悩んだ挙句、やっと子犬1匹を連れて帰って、みんなで里親募集をしてみたんです。

─始めは大勢で1匹に対応だったんですね?

扇田:それがまあ、少しづつやり方が分かって来て、じわじわ人が増えて来たっていう感じです。預かりさんが増えたら、現場からもう少し連れて帰れるなとか、運転できる人が増えたらなとか、役割役割に合う方が段々集まって来てくれて。それで、今みたいに1人1匹づつ譲渡活動できるようになりました。

─皆さん、ボランティアですよね?

扇田:そうです。獣医さんたちにも凄い安いお金で協力して貰ったり、トリミングの方たちも完全無料でやってくれています。

愛護活動の信念

─ちばわんでは、不妊・去勢手術をしてから譲渡をしているそうですね?

扇田:はい。必ず不妊去勢手術をして、ワクチンとか血液検査とか、一通り終わらせてからお渡ししています。これは預かりさんにお願いしています。

─いぬ親の負担は?

扇田:その内の一部として3万円ご負担して頂いています。
でもこの金額も獣医さんによって様々で、2万5000円しか掛からなかった子もいれば、20~30万円掛かる子もいる。なので、過不足分は譲渡の犬全体でシェアして均等割りしています。それでもやっぱり足りないので、あとはチャリティーグッズを売ったり、企業さんから頂いた寄付金を回させて頂いたりしています。

─徹底して不妊・去勢を推進しているんですね。

扇田:日本では毎年10万頭近くもの罪のない犬猫が、飼う人がいないというだけの理由で殺処分されているんです。そのほとんどが、飼い犬が生んだ子犬と子猫。 殺処分数を減らすために誰もができることが、不妊・去勢手術を必ず行うこと、そしてその意識を広めることだと思うんです。
動物愛護先進国であるヨーロッパやアメリカなどと比べれば、日本はまだ不妊・去勢手術に関する意識が低いと思います。
不妊・去勢手術は、あらゆる病気を未然に防ぐことにも繋がるんですよ。

─NPOにせずに任意団体のままなことには理由があるんですか?

扇田:う~ん、タイミングを逃してNPOにならなかったって言うのが一番正解なんですけど(笑)。なんですかね、自分の中の先入観でNPOに苦手意識もあって。これだけ大人数で動いてもフラットな関係だったのに、急に組織化して役員とか決めて、幹部と一般みたいな隔たりが出来るのも気が進まなかったというか…。

15年間の前進

─確かに今の形でここまで大きく広げてやって来れたんですもんね。
ところで、15年で社会の変化みたいなものは感じますか?

扇田:殺処分がどんどん減って来てるんですよ!一般の方の意識も凄く変わって来ているんじゃないかと思います。手術するのが当たり前になって来たり、犬を貰うならペットショップよりこういう団体からって人が増えてきている実感があります。

─個人の意識が変わるのは大きなことですね!

扇田:本当にそうです!最近ではお問い合わせの内容も変わって来ていますよ。
例えば、15年前は「なんとか公園に犬が捨てられているから行って下さい」とか無責任な電話やメールも多かったんですけど、最近は「犬を拾っちゃったんですけど、里親募集の仕方を教えて下さい」とか前向きな相談が来ます。

─個人とは別にCSR(企業の社会的責任)も変化して来たりしていますか?

扇田:そうですね。昔は企業の社会貢献と言っても植林とか植樹が一般的だったと思うんですけど、最近は犬とか猫の動物愛護にも意識が広がっている気がします。

─逆にまだ解決へ向かっていない問題ってありますか?

扇田:売り手側の問題ですかね…。何回か繁殖施設のレスキューに行っているんですけど、劣悪な環境で子供だけを生ませているケースも少なくありません。いっぱい産ませれば収入が増えるって、それだけなんでしょうね。そういった施設で処分されている犬も猫もいっぱいいると思います。
でも、ペットショップに飛びつく消費者がいる限りはそういう施設はなくならないと思うので、更に個人の意識が変わってくればいいですね。

─最後に、何かボランティアを始めてみたい人に対してアドバイスってありますか?

扇田:無理なくやることかな。あと、ボランティアは楽しんで出来ないといけないのかなぁと思ってます。ボランティアへの関わり方や考え方は人それぞれですし、仕事や家庭の事情も大きく関係してきます。あまり難しく考えずに、まずは簡単な事からでいいのではないでしょうか?

─扇田さん、有難うございました。

普段はご自身も働いていて、休みの日を使ってボランティアをしているという扇田さん。
「私は働いているから犬が飼えない」など、「自分は○○だから○○出来ない」という相談を受けることが多いといいます。だから、まずは自分がやってみせられるような状態にありたいのだそうです。「それに、楽しそうにやっていると参加してくれる人も増えるんですよね」そう言って笑う笑顔がとても印象的でした。
「・・・私には何が出来るかな?」思わずそんなことを考えはじめてしまいました。

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