#62  ~中小企業の後継者問題を深堀! そこに僕らのビジネスチャンスは?<後編>~

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中小企業が生き残るには、“時代の変化を取り入れる”ことで自社を変化させることと、“5歳刻みのポジショニング”が大切だと語る日本経営合理化協会の牟田氏。では、これからの中小企業、特に地方が生き残るために必要なキーワードはなんでしょうか?
今、元気な企業がやっていることは?など16万社に出入りしているからこそ感じる『成長の秘訣』を続いてお聞きしました。

会社は大きさより質、引き際が大切。

ー 一般のサラリーマンには社会がそうやって変わっていくことに影響があるんですか?会社は大きくなっていくほうが強いんですか?

牟田「弊会は規模より質を重視しているんで100億売り上げでも利益いくら出しているかを重視します。塾ではよく数百億規模の会社と数億の会社と膝を突き合わせて勉強するのですけれど、「うちは規模が小さくって」という経営者に、でもあなたのところは、あの数百億の会社より利益率が高いじゃないですかっていうんです。小さくてもいい会社ってありますよ、6億の会社ですけれど経常利益率が20パーセント以上ある会社ですとか。」

ー中小企業って面白そうですね

牟田「うちは学校にたとえると小学校から中学校まで教えるみたいな感じでイメージしてください。弊会で勉強して大きくなって卒業される会社もありますし、そのまま続けられる会社もあります。取引先には色々な企業があります。いままで来られていた会社で大きな会社で言ったら、例えばユニチャームさんとかエイベックスさんとか。 この間も元社長の依田さんもいらっしゃっていましたけど。ドトールさんとかも来られていました。 あのロゴも会長が作っているんです。あとスターツさん、ミスパリとかダンディハウスとか作っている下村社長もよく来られています。 あと、すしざんまいの木村さんとか。」

ーソマリアの海賊と戦ったとか。起業しようと思っていらっしゃったんですか?

牟田牟田「すしざんまいをやる前からうちにいらっしゃっているんです。もともと自衛隊出身なんですよ。でも色々起業されていまして昔からうちで勉強されていますね。私が本にも書いていますけれど、私がアイルランドで飲食をやっていてマグロ漁船の船員さんが7月8月に大量に来て、2、3日しか滞在しないからマグロで払っていいかっていうんだよね、っていう話をしたらすぐ飛んできました。「マグロの仕入れの拠点をつくりたい」って言って、会社を立ち上げて、それから2年後に出来たのがすしざんまいだったんです」

ー現物で払われたものがそのまま寿司になったんですか?

牟田「1年持つくらいのマグロをもらいましたから(笑)次の年まで持つくらいのマグロを。レストランの冷凍庫には入らないので、肉屋の冷凍庫に保管して、なくなったら持ってきてと、それも固まりで。」

ーなんとなーくサラリーマンを辞めたいってひとが勉強しにくるのもありなんですか?でも資質ってあるんですかね?

牟田「資質っていうか、悪い言い方をすると金の匂いに敏感な人とそうでない人っていますよね。なぜ木村さんの話をしたのか?ですが、木村さんなんかそうですよね。すしざんまいにたどり着く前は、80業種くらいやっていたらしいのです。」

ートライアンドエラーの繰り返しですか

牟田「いえ、どれもそこそこに成立していたそうです(笑)」

ー新規事業というと、引き際も難しそうですよね

牟田「難しいですね。多角化っていいましたが、100個やって当たる確率ってやって10%当たったらいいみたいな。10%でも高いほうです。特に地方の名士とか言われていると面子があるので引き際が悪い人が多いんです。早くやめればいいのに(笑) そこにいる社員さんにしてみたら、あいつらがいるから俺らの給料が上がらないんだとか、そう考えるのが人間じゃないですか。引き際って大切なんです。 だからそういうものは始める前に考えたほうがいいというんです。」

これからの中小企業に社会貢献活動は必要か?

ー最後にもう一つ聞いておきたいんですが、CSR活動って外資系の会社のほうが積極的にしかけているなあって思うんですよね。日本の中小企業っていうのはそういう活動への意識を持たなくていいのかなどと感じることが多いんですが、やっこれからの時代こういうマインドはいりますか?。

牟田「今まではなかったのですけれど、最近は増えていますね。物流会社とかメーカーはパートさんですとか地元の人が来るわけじゃないですか。 なんかあったときに地元で悪評とかたっちゃったらだれも働いてくれなくなったりと、物流とかメーカーさんとかはパートさんが主役とかそういう会社が多いですから。ですから地域に還元するために広い駐車場を開放して祭りをやったりですとか、最近よくやるようになりました。面白いのが、滋賀県の大津の工務店さんが、イオンモールができて大津の駅前のパルコが無くなって寂れてしまった。そこで、シャッターが下りているところを買い取って古民家再生の一棟貸しエアB&Bみたいなものを作ったんです。中にデンマーク製の家具なんかを入れて「古いけど新しい」みたいなものを作っています。たしか来年の春からオープンだったような。 大津からだったら在来線で京都までいけるじゃないですか。京都に泊まると高いじゃないですか。季節変動するし。 そういうものを作って人を誘致し、寂れている大津の商店街を活性化しようとしている人もいます。

ー世代も変わって社会の問題も俺らの仕事の中で貢献しようよっていうマインドも少しずつ盛り上がってきているんですね

今、企業が成長するために必要なことは哲学や理念

牟田「講演でお話させていただいているのが、哲学とか理念とかそれに人が集まってくれる!お客様が支持して集まってくれる!だからこそしっかり作っていかなきゃだめですよと申し上げています。そういう会社は結構ありますよね。パタゴニアとかミズノとかボルビックとかその、思想とか哲学とかに集まってくるお客様とか社員っていうのが必ずいます。」

ーこれは日本の社会がある程度成熟したからってことなんですかね?単純にものを作ったり、サービスを提供しているだけだとダメだと。

牟田「でしょうね。自分の思想にあったものを長く使ってくださるとか」

ーそこにまた一つ経営者のバランス感覚って必要になってきますね。行き過ぎると無駄使いしすぎと突っ込まれそうですし。そこのバランスをみながらということは経営者の器ってやっぱり大きくなきゃって感じですね。
ベンチャーは変人が多いって感じですけど、歴史のある企業もやっぱり創業者は、変人なんですかね?。

牟田「2代目3代目って役割が違うんで、全員が創業者みたいな人だったらすぐ倒産してしまいますし。」

ーそうですよね、0から1を興した人と1を10とか100とかにする必要がありますんもんね

牟田「よく私は駅伝にたとえるんですけど、第一走者はうしろも振り返る必要もなく走りますけど第2走者以降は後ろも抜かれないように気をつけないといけませんし、前もあわよくば追い抜かなくてはならない。でもオーバーワークになっちゃうとリタイヤになってしまいます。 走っている場所も違うし気温も違う、時間も刻々と過ぎますから、経営環境も同じでどんどん変わっていくじゃないですか。だからその時に対応するバランス感覚って必要ですね。」

ーうまく次に回さなくてはいけないのにお前がリタイヤしてどうするみたいな。 2番手3番手は奇人変人じゃだめって。職人気質ではだめそうですね

牟田「うちのお客さまでもいるんですが、職人っていうか研究肌とか。一回倒産しかかって、資金が回らないって在庫叩き売ってそれでなんとかまわして。 一回在庫全部売ってそれで新しい商品を開発をして付加価値をつけて、負債採算の要らない営業所をたたんで、ネットって値下げしなくていいので、入金確認後発送で計上利益を20億をだす会社になったんです。」

ーこれは同じ経営者ですか?

牟田「息子さんに経営が変わったんです。創業者は会長にして会長は商品開発で、息子さんが、社長で経営を。 ある意味両方長けている人っていないですよ。そんなスーパーマンのような人って。」

ー作ったはいいが情報を出さないと売れないですよね。情報を届けないとわからないですよね。 それを聞いているとなんかまだまだ日本は行けるような気がしますね。

牟田「そうですよ。経済評論家がこれからの時代は日本は人口減だから海外いけと言いますが、かつて日本はものづくり大国と言われていましたがそれを海外に移転して、もうそれも行き着くところまで行き着いてしまったんですよ。 もう地球の裏側まで行っちゃったんですよ。」

ーそしてまた人件費が高くなっていくと。

牟田「海外のメーカーは工場を撤退して本国に戻っています。ロボティクスです。日本もいずれはそうなっていくでしょう。 日本を本当によくしていきたいのなら地方分権とかして地方の税金を低くしてメーカーを誘致してある程度の雇用を確保して税金を落ちるような仕組みを作ることが大切です。」

ー理系!理系!と子育て世帯が言っているのは、そう言ったロボットを管理できる人材が必要とされる世の中になっていくということでしょうか?

牟田「これからは二極化すると。アマゾンみたいに効率化を重視してどんどん成長する会社とテスラモーターみたいなショールームに言っても営業がいない、注文したいって言ってもそこにiPadがあるからオプション選んで注文してくれみたいな。そういうのが増えているんですよね。しかし、一方でSNSで人と繋がりたい人がいる。 企業としては効率でいくのか人との繋がりでいくのかで分かれると思うんです。中途半端ではなくきっちり決めていかなければ生き残れないと思うのです。もたもたしているとアマゾンに潰されちゃうぞと。」

ーでもこっちの路線はグローバル企業との戦いになっちゃいそうですね。結局ネットワークの大きさか、あとは人間味というか思いやりというか。なんかそっちの方がいいですね。

牟田「弊会が求めている質はそこなんですよ。」

ー全方位系というかリスペクトというか思いやりを持って向き合って結果を出していくということということですね。でもそれって超古典的というか商売の原型というか感じがしますね。

牟田「外的要因ですが企業が煽りくうのはたとえば電通のような大企業の社員の方が亡くなったと。それで残業0にしろというお達しで、中小企業まで煽り食うとか、仕事が楽しいという人も、バンバン働いてローンを早く返したいという人もいるのにと。 悪いのは残業じゃなくて社風なんですよね。 今までやっていた仕事を時間内でなしでやれと言ったら効率化しろってことでそんなのやれるのはせいぜい10%とか15%。単純に一番手っ取り早くやるには人を増やすことじゃないですか。そうなると一人一人の手取りが減るということになる。そうすると会社としても経営者としても社員としても面白くないじゃないですか。」

ーみんなパートみたいな仕事になっていくと。

牟田「いま日本全体がそっちの方に行きそうで。日本は中流階級だから少ないですが、アメリカなんて政治などに票を取るために弱者の声も無視できないいう世界になってきています。それが経営にも影響を及ぼしてきています。これからは会社経営は難しい世界になってくるように思います。」

ーそうですね、法律が何でもかんでもがんじがらめにしてきてちょっと過保護な要素もありますしね。確かに毎日夜中の3時4時まで働いているのはこれもキツいとは思いますし。だけど自分の裁量でこれはこれまで仕上げたいというこだわりの結果としての仕事なら、ある意味これは締め切りまでやっておきたいというこだわりの結果ということで精神的に救われるんでしょうね。

牟田「働きたい人は、その会社の哲学とかを見て入ってきていますからね。 女性の戦略とか残業に関しても日本は先進国の中でもちょっと一周遅れているような感じがします。働き方の多様化とかはもっと柔軟になるべきじゃないでしょうか?」

「遊んでいるように仕事をし、当然のように結果を出す」

ー中小企業の後継者問題。もっと危機的な話になるかと思ったんですけどなんか明るいですね。

牟田「お客様でも「うちは斜陽産業で…」って言う人がいます。そういうことをいうときは怒るんですよ。トップ自らとそういうことを言えば優秀な社員がくるわけがないじゃないですか。ましてやそんな会社がお客様を楽しませることができるのかと。 企業の経営者の仕事というのは、どんな時でもトンネルの社員に光を見せれる存在でなければいけないのですから。」

ー東京で余っているおじさんたちの出番をもっと作ってあげればいいのかなって勝手に思っていたんですけど、そういう必要もなさそうですね。 経営者というのはちょっとアホな方がいいかもしれませんね。

牟田「うちのお客様でおもしろいのが、計画書の中に『遊んでいるように仕事をし、当然のように結果を出す』っていうのがありまして。本当に計画書に書いてきたんですよ。楽しくなければ仕事じゃないですからね。」

ーそれかっこいいなあ(笑)
お金ばっか追いかけちゃうと面白くないなあって思う方なんですけど、違うモチベーションがあれば自ずと結果はついてきますからね。みんなやっているんですね。
本日はお忙しいなか有難うございました。

牟田「私でよければいつでも発信のお手伝いをいたしますよ。面白い会社はまだまだありますから。」

「地方の中小企業に後継者が、不足している!」
これは、僕たちのコミュニティで解決できそうな問題だと感じ早速情報の深堀してみましたが、予想していたよりもすでに新しい流れが動き出していました。

しかも、単なる金儲け主義ではなく商売の原点回帰を目指した素敵な中小企業もどんどん成長しているようで・・・
これからの中小企業は、なにやら楽しそうな気配が漂っていますね。

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