#69  経済的な理由で学びたい意欲を諦めない!学費を抑えた希望の高校選びのコツ【前編】

子どもを持つ親が必ず直面するのが、「学費」問題。義務教育中の小中学校でさえも、教材費や給食費にPTA会費と、思ったよりも費用がかかるなぁ…と感じませんでしたか? そしていざ高校へと場面を移すと、一気に家庭の負担額は大きくなります。まだお子さんが小さいご家庭はピンとこないかもしれませんが、いずれ訪れる学費問題になんとなく不安を感じている人も多いかもしれませんね。

そもそも、高校選びをする場合は「公立」と「私立」のどちらを選択するかで、負担額はかなり変わってきます。

ある学校情報検索サイトの調査によると、公立中学校を卒業する時に公立高校への進学を希望した生徒の割合は、男子75%、女子80%という結果に。その理由として、もっとも多かったのが「私立高校は学費が高いから」でした。

一方、はじめから私立高校を希望していた生徒の保護者に「なぜ私立を志望したのか」を尋ねたところ、「私立の方が教育方針や教育内容が良いから」「大学進学への指導が良いから」という回答が実に7割以上でした。

ここから推測するに、希望の高校選びの根底には「教育方針や内容など勉強をする環境は私立の方が良いけれど、学費面で通わせるのが厳しい」という傾向があるようです。

「私立はお金がかかる」という通説が覆された!?

そんな「教育の質という点では魅力的だけど、私立高校に通わせるにはお金がかかる」という現状ですが、ここ数年で少し風向きが変わってきていることをご存じですか?

というのも、東京都の小池百合子知事が、教育機会の平等化のため「私立高校の授業料を実質無償化する」と発表し、2017年度からスタートしているのです。

東京都私立高校授業料無償化って?

学費に悩む親にとって救世主となる「東京都私立高校授業料無償化」とは、一体どのようなものなのでしょうか。

実は、東京都在住で私立高等学校等に在学している生徒に対して、授業料負担の軽減を目的とした返還不要の助成金制度が2つあります。

ひとつは、国の法律に基づいた全国一律の制度である「高等学校等就学支援金」。そしてもうひとつが、東京都が制定した「私立高等学校等授業料軽減助成金」です。

この2つの制度を合わせると、年収目安約760万円までの世帯に対して、在学校の授業料を上限に都内私立高校平均授業料相当の44万9,000円(平成30年度の場合)まで助成されることになりました。

※給与収入のみ、4人世帯(夫婦と子ども2人)を想定
※年収はあくまで目安であり、審査は住民税課税額などに基づいて行われる

東京都在住であればOKなので、都内に住んでいれば東京都以外の私立高校に通っている場合も適用されます。また、学校指定の寮などに入るため都外に引っ越したとしても、保護者が都内に住んでいて、当該生徒を扶養、学費を負担していれば助成の対象になるそうです。

この制度によって、2017年度は私立高校に通う生徒の約3割にあたる約5万人の授業料が実質無償化されました。

参照:http://www.shigaku-tokyo.or.jp/pa_jugyoryo.html

授業料以外の経費が意外にかさむため要注意!

なんとも太っ腹でありがたい制度ですが、注意点もあります。
まずは、授業料が実質無料になっても、その他の経費がかさむことが多い点です。東京都の調査によると、授業料が無償化されたとはいえ入学金(平均約25万円)や施設費など(平均約21万円)を負担しなくてはならず、自己負担額は平均47万円という結果が出ています。
さらに、助成額以上の学費が必要な学校も少なくありません。高いところでは、初年度の授業料が80万円を超える高校も! 当然、助成金との差額は自己負担になるので、「私立高校の授業料が実質タダになる」という情報だけで私立を選んでしまうと、想定外の出費に苦しめられる可能性もあるのです。
まずは、自分の家庭が助成金の対象にあたる世帯かどうかを確認したうえで、私立にチャレンジするのか、その場合は学費以外にかかる費用についてもリサーチし、よく検討することをおすすめします。

新たな制度を利用して積極的に学べる環境を

最終学歴によって、社会に出てからの平均賃金に差があること、そして経済的に厳しい家庭の子どもたちほど大学への進学率が低いことは、悲しいですが現実です。

そんななかで、金銭的な事情で希望の教育が受けられない、勉強する意欲があるのに学費面によって諦めざるを得ないという状況を少しでも改善するために、東京都の助成金制度は大きなサポートになりそうですね。
未来を担う子どもたちに必要な教育を提供し、自ら学びたいという願いを遮らないために。次回は、海外も視野に入れた大学進学を見据えた高校の選び方について、できるだけお金をかけないで実現させるポイントをふまえてお伝えします!

▶︎▶︎▶︎後編に続く

INDEXヘ戻る

Follow us!