#09  『みんな電力』、来年に電力自由化をひかえて

 世田谷ものづくり学校の一室にオフィスをかまえる「みんな電力」は、はた目にはとても、電力を扱う会社には見えない。また、来年に控える電力自由化に向け業界はにわかに盛り上がっているものの、社会からの認知はまだまだ高いとは言えない状況だ。
  「みんな電力=みん電」はこれまで、手のひら発電「空野めぐみ」やポータブルでフレキシブルなソーラーシート「Solamaki」を開発し、再生可能エネルギーを促進する「エネドル」、「エネギャル」を仕掛け、世田谷区におけるソーラーパネル普及に尽力し、来年には全国にバイオマス発電所を建設、さらには誰もがエネルギーを選んで買える「enection(エネクション)」も準備中、、ざっとその実績、取り組みを並べるだけで、楽しげな空気感が伝わってくる。
 つまりそこにあるのは、固定概念を痛快に壊してくれる、自由な未来の生活だ。
 新しい常識が生まれる時、それはそれまで存在していなかったのだから、最初はわかりにくくて当り前。でも、初めて手に入れる自由の可能性、私たちが選んでつくれる生活の在り方に、理屈抜きに、ワクワクするのである。

大石 新しい電力の動きが、鹿児島で始まっているというのが、何とも面白いですね。

—どこかで、ハッピーエナジーは、みんな電力の在り方ともシンクロする部分があると思います。改めて、大石さんの取り組みについて説明願えますか?

大石 もともとはおじいちゃん、おばあちゃん、ギャルもちびっ子も、「みんなで電力をつくろう」と始まったのが「みんな電力=みん電」です。
 たぶん、そもそもの起業の経緯のところをお話すると早いと思うんです。
 僕たちは311後に、「脱原発で再生可能エネルギーを始めよう」とつくったわけではなくて、元々私は凸版印刷にいる頃から新規事業の立ち上げをやってきました。それが、40歳を超えるタイミングで「もう、立ち上げる最後の事業にしたいな」と。それは、新規事業の立ち上げはカロリーが高いということもありますし、「どうせやるなら産業全体に関わる事業をつくりたい」という気持ちがベースにありました。
 印刷会社は輪転機をまわしますし、僕は電子出版の事業をやってましたが、すべてに関わってるものは、電気です。オフィスだってもちろん、そこで例えば電気の意味や値段が変わったら、「産業全体に大きな影響を及ぼすかも」と。そうことで漠然と、電気の事業は「人生をかけるに値するんじゃないか」と考えていたんです。
 ある日有楽町線に乗った時、たまたま前に女性が座ってまして、その彼女がソーラーの携帯充電池をブラ下げていたんです。当時まだガラケーで、ちょうど充電がなくなりそうなタイミングで、自然と「このおネエさんに電気を分けて欲しい」と、思いました。「このおネエさんからだったら、今200円でも買ってもいいな」と。そして、その隣にはおじさんが座ってて「でも、このおじさんだったら50円か20円だよな」と。
 その時に、
「あ、電気って、このおネエさんがブラブラしてる最中につくられて、その瞬間に僕がそれを『買いたい』と思って、実はもう、誰でもつくれるようになっているし、それを売る場所、売る仕組みがないだけなんだな」
と、思ったわけです。
 だから、売れる仕組みさえあれば「とっても面白いな」と。例えば、子どもがつくってたらその親が「お小遣い代わりに買うよ」とか、おばあちゃんがつくってたら、大きくなってきた孫が「買ってあげるよ」とか。  
それはつまり、「何も生産しない」と思われていた人たちが、一気に生産者になる。仮に大量にそれが増えて、その時失業者や、もっと言えば「オレになんか価値はない」とか言ってる人たちもみんな電気をつくったら、世の中全体が元気になるんじゃないか。それで「みんな電力プロジェクト」というのを始めたのが、そもそものきっかけです。
 だから、「再生可能エネルギーを増やそう」といった動機よりも、むしろ「電気って誰でもつくれるから、実際につくって売れれば面白いよね」ということが原点なのが、他の会社と大きく違うのかもしれません。

—そこを起点に、今に至る。

大石 それでまず、この手のひら発電「空野めぐみ」という、誰でも発電できるポータブルのソーラーパネルをつくりました。これの面白いところは、世界で初めて「お財布ケータイ」のチップが埋め込まれてまして、対応の携帯をかざすと何ワット発電してるか読みとれます。さらには発電量に応じてポイントがもらえて、それがたまると節電グッズとの交換もできるんです。


手のひら発電「空野めぐみ」

—発電することで得をする。

大石 ただ、実際には故障も多かったり、お金もめっちゃかかって後悔もしたんですが(笑)、とにかく「電気をみんなでつくろう」、「電気をつくるメリットがあるような仕組みをつくろう」ということでは、これが第一号でした。
 それが311直後の頃、関心が高まってる中で「『手のひら発電』って変なことやってるやつがいる」、「なんだか違うアプローチだね」と、世田谷区から問い合わせがあったり、色々なご縁ができました。
 当時は「エネドル」とか「エネギャル」と呼んでましたが、「再生可能エネルギーをつくっていこう」という女性たちとの出会いも、この商品がつくってくれたんです。

—世田谷区は保坂展人区長が率いて、再エネに関して他区と比べても、頭一つ抜きん出ている印象です。今はどのようなご関係ですか?

大石 共同で、区が持っている公共施設の上で、区内最大級の太陽光の発電事業をやらせていただいたり、あとは「世田谷新電力研究会」という、これは任意団体ですが、区長と一緒に勉強会を開催させていただいたりしています。この12月からも、新たな取り組みが始まるところです。

—世田谷区や保坂区長とみん電のビジョンは、シンクロしている?

大石 世田谷区のエネルギー政策の基本的な考え方とシンクロしているんだと思います。
 再エネシフトや、23区で初めて電力会社をPPSに切り替えたのも世田谷区で、それは大きなニュースとしてテレビ報道され、23区をはじめ、他の自治体が真似して切り替えています。
 あとは、世田谷区で家庭用太陽光を普及させる施策で、「世田谷ソーラーさんさんプラン」というのを始めたんですが、それは区が一括でパネルを買い上げて、安く区民に供給するものです。そういう事業にも関わらせていただいて、「お値段はいくらだったらいいですよ」といったアドバイスをさせていただいたり。それで実際世田谷区内では、電気屋さんの太陽光の設置料も下がったと聞きました。

—競争が生まれた結果ですね。

大石 たぶん結果的に、23区で一番太陽光がついてるんじゃないかと思います。区自体が積極的に、「311以降の新しいエネルギー政策を、地方自治体からやっていこう」ということを掲げていて、わかりやすく区民が参加できたり、興味を持ってもらえる仕掛けをしています。

—大石さんが311前からエネルギー事業を始められて、今現実に始まっている「FIT」や来年に控えた「電力自由化」は、すべて予想外だったわけですよね?

大石 はい。

—予測不能な、歴史的な天変地異や制度の大きな変化があって、どのように対応されてきたんでしょうか?

大石 予定が大幅に狂うということは普通にあります。でも、結局これをやっている中で、僕たちは太陽光を特に営業したことはないんですが、ひょんなところから、「面白いことやってるやつがいる」といったお声がかかり、行ってみると、その方が「実は太陽光をやろうと思ってる」と。「どうも『FIT』ってのができて、儲かるらしいし、色んな業者が来るけど、実績もないだろうけど、お前らにやらしてやるわ」みたいな(笑)。

—本当にそんな感じで広がっていってるんですか?

大石 最初は小さいといっても、僕らにとっては大きかったですが、静岡の医薬品メーカーのオーナーが、社内の人はみんな反対だったのに、「太陽光やる!」と。それで僕らが呼ばれて、設置させていただいて。それ以降もだいたいそんな感じで、多いのは、オーナー社長みたいな方がまわりの制止もある中で、「オレはやりたいんだ」みたいな(笑)。

—あまり、民主主義じゃないですね(笑)。

大石 最初はそんなものなのかもしれません。お金や、そもそも太陽光をやるスペースを持ってる人のところには、いろいろな営業がいくわけです。そういう中で一風変わってて、理念には共感いただいて、その積み重ねが実績となって、結果的にメガソーラーとか、大きな案件を手掛けるようになってきたという感じですね。


ポータブルでフレキシブルなソーラーシート「Solamaki」

—311後によく聞くのは、自分で発電所を始めるとか、パネルの製造などですが、みん電さんの場合はそうでもない。社会にある需要と供給を、うまくマッチングさせる役割といいますか。

大石 それは、「発電支援」をしてるだけなんですよね。「みんなで電気つくろうよ」と言ってて、個人でつくるとしたら先ほどの「空野めぐみ」とか、この「Solamaki」がありますし、それらは僕の中ではまったく同じことなんです。

—個人ならこう、ビルのオーナーであればこう、と。

大石 それから僕らは、「投資家の案件だから嫌だ」とか、そういうことは全然ありません。それは、どんな方も「電気をつくりたい」という気持ちは同じわけです。動機が「儲かるから」だとしても、僕らにはとっては「みんなで電気をつくる」、大事な新規参入者さんです。だから「儲けたい」という方には、ちゃんと「儲けたい」プランをお出しします。

—強い想いで「原発じゃない、環境に優しい電力」を希望してる方には、そういった電力を提案する。

大石 今なら木質バイオマスで、うちの役員が三重の松阪でやっている、5800キロの、成功例として全国から見本となっている発電所もあります。皆さんから、「なぜうまくいくのか」と視察が絶えない施設なんですが、今後、そのノウハウを活かして、全国に木質バイオマス発電事業を展開予定です。
 でもそれにしたって、発電の方法が手のひらサイズかバイオマスかという違いだけで、あまりそこに仕事としての違いを、会社としては見ていません。

—「enection(エネクション)」なるものも、仕掛けられていますね。

大石 それは、最初の話に戻ります。
 その、「目の前のおネエさんがつくった電気を僕が使うにはどうしたらいいか?」を考えていく中で、例えば、「三重の松阪でできてる電気は、地域のみんなが集まってできた、すごい想いの込められた電気だ」と。それでそれは、「どこどこの、あんまり地域に貢献してない火力発電所とは意味が違うよね」と。
 僕はどうせなら、「地域と繋がった電気を買いたい」し、そこが自分の地元だったらなおさら、「そこにお金を落としたい」。被災地の復興を考えても、毎日使ってる電気を、「現地に直接貢献できる電気に切り替えて生活したい」。  
電気は毎日使ってるんだから選んで買えてもいいのに、「選ぶ仕組みそのものがないよね」と思ったんです。

—それぞれがお望みの電気を買える仕組みが「enection」。

大石 どうせだったら、今まで自分たちがやってきた太陽光だって使いたい。でも、その方法がないので、来年の自由化に向け、電気をスマホやパソコン上で選べる。発電してる人々の方法や特徴、想いも知ることができる。そういう仕組みをつくっています。
 厳密に言えば、電気自体は実際には近場から来ます。だから、遠くの発電所から送電線で運ばれるわけではないんですが、お金は最終的にちゃんとその方に払える。でも電気は、全体のプールの中にはしっかり仕入れているし、仕入れた分しか売らないので、そこで「電気を選んで買える仕組み」が実現するんです。

—こんな話も耳にします。電力はイギリスでも自由化されていますが、自由化前は多くの人が「再エネを買う」と言っていたのが、いざ蓋を開けてみると、みんな結局安いものしか買わなかったと。

大石 価格は重要なファクターだと思います。これはいつも言ってるんですが、市場の95%の皆さんは価格で買うと思います。僕自身、電気を選んで買う人なんて、最初はすごくニッチだと思っています。だって、そんなスタイルはかつてないし、誰も想像できていない。
 ですので「まず、市場の5%くらい」とは思いつつ、最近手応えとして感じていることもあります。
 海外では、Appleさんが「自社のデータセンター、オフィスを、100%グリーン電力で賄っています」とか、Facebookさんも「次につくるデータセンターの電気は、風力発電のファームから買います」といったように、電気を選んで買っています。ブランド企業の姿勢、流れはやがて日本にも広まり、「電気を選んで買うこと」が「環境社会貢献として、企業活動の重要な一環」ということになっていくでしょう。
 今、日本では「環境CSR」とか偉そうに言いながら、「電気についてはまったく無意識」みたいな状況です。そういう企業から、「電気は選んで買わなきゃ」とか、「工場のある地域に還元してます」、「福島の復興に貢献してます」ということへの切り替えが始まると、社会意識の強い団体、個人が使い始めるかたちになると思うんです。
 そう考えると、単純にそういう風潮のなかった時代のイギリスでの電力自由化の市場傾向が、日本でもそのまま価格だけの問題になるかというと、「決してそうじゃないんじゃないか」と思います。実際に、企業といろいろ話していく中でも、「電気切り替えるだけで環境貢献ができるんだったら、同じくらいの電気代だったら全然いいですね」という声は多くあります。

—逆に言えば、みん電を通さないと、せっかく自由化になっても、自分が使っている電気が原発産なのか再エネ産なのかわからない。

大石 今のところはやっぱり、話しててもイメージできてない方が多いかもしれません。でも、有機農業のイベントなんかで話すと、「電気でそんなことができるのか」と、強い興味を示してくださいます。  
とはいえまあ、今のところはまだ、そもそも来年に電力が自由化されることすら知らない人がほとんどです。

—再エネを好まれる方々には、「スマートグリッド」で考える方と、「オフグリッド」に向かう方がいるような気がします。

大石 スマートグリッドとオフグリッドって、理念を軸にすると、「電力会社に依存したくない」みたいなことで別れちゃうんですが、各々の世帯は省電力にした方が絶対いいわけです。
 だから、「基本はオフグリッド思考」であるべきで、できるだけ自給していった方が極めて安定性は高い。でも今後、実際自給し始めた時に、電気が余ってそれを捨てるのももったいないということにもなる。そこはやはりスマートグリッドで、足りないところに供給していかないと、結果的には「どっちにも無駄が起きる」という話になっていきます。
 ですので、今後石油価格はあがり、電気代もあがる傾向で、太陽光と蓄電池は下がっていくので、まずはオフグリッドを志向する。あとは省エネ志向で、うまく窓ガラスや壁の厚みを改善することで、極力エネルギーを使わない「0エネルギー排出」にも近づける。
 でも、「じゃあ、スマートグリッド抜きでいいのか」というと、それはそうじゃない。グリッドは繋がってないと、無駄が起きてしまいます。だから、スマートグリッドとオフグリッドは「分けるものじゃなくて、一緒だ」という風に思っています。

—この新しくて流動的な業界で、合理的かつ、ブレない姿勢に思えます。

大石 それはたぶん、始めた動機、起業のもともとが、ある意味下世話じゃないですか。「このおネエちゃんから200円で電気が買えたらいいよな」みたいなところから始まっているので、高尚な理念じゃないんです。

—最初の動機がシンプルだったからこそ、柔軟性や汎用性、波及力があるのでしょうか。

大石 ただ、太陽光の産業用ソーラーとかからのスタートじゃないので、受け手によってはどうしてもイロモノ的な見え方をしていく側面もある。でも逆に言えば、こういったものをつくってきたからこそ、いろいろな人が発電に参加できる、それが実現しつつあるという現状を面白がる人が、「きっと何%かはいるんだろうな」ということを肌で感じます。

—本来、電気をつくってるからって、偉いわけではないはずです。「電力会社だから」という理由ですごい高給取りなのが、本当はもっとカレー屋さんでもラーメン屋さんでも、電気をつくる人もみんなと同じく、そういう感覚で、家庭菜園でできたキャベツを食べるのと同じ様に電気を使えれば、ハッピーなことかと思います。

大石 まさにハッピーエナジーですね(笑)。
 なかなかそういう部分は専門誌なんかが伝えてくれない部分で、「面白いからやろう」という風に広がっていってもらって、そこが闘争的な話になっちゃうと、進まなくなってしまうので。  
経営的な話では、今はいろいろなところに細かいイノベーションの種があって、電気を流通させる上で、必ずITシステムが必要です。発電してる人と使ってる人を調整して、常に在庫がないようにバランスをとるとか、間を繋ぐ上で国の機関や、送電線を管理している電力会社と連携する必要があったり。
 それに、電気が足りない場合は卸取引所から仕入れたり、いろいろな人が関わって電気の流通は成立しているので、必ずITの仕組みが必要になります。
 今までその仕組みは一部の会社しか持ってなかったんですが、それはそもそもは持つ必要がなかったから。でもこの、「一部高圧の電力の自由化」が始まると、この仕組み自体がものすごく複雑で、高額なんです。もし「電力を売ろう」と思っても、「システム開発だけで何億もの投資は無理」って、PPSもみんな諦めてしまう。
 僕らにしても、当初「どこか外部のIT屋さんと組みたい」と思っても、その時にハードルは2つあり、一つにはべらぼうに高い値段。もう一つは、「電気が選べますよ」って話をするんですが、そもそもそこに興味を持ってくれないという。「『電気を選ぶ』って、意味あるんですか?」みたいな話になっちゃって(笑)、「うちの基本機能にはありませんので」となってしまう。
 そこで、ある電力に詳しい人からの提案で、自分で0からつくるのではなく、世界最大の、最も安定したクラウドである salesforce さんにデータセンターもインフラもお任せすると。「完全クラウドの電力流通の仕組みにした方がいいんじゃないか」ということで、今回、僕らは思い切ってそれを採用しました。
 salesforceさんには「選ぶ」ことと、「電気の流通コストを安くしたい」という点に共感していただきました。そうすることで、今までのバカ高いITシステムの値段は皆さんの電気代に転化されてきたわけで、その意味で、電力の流通コストがとっても安くなるんです。
 さらにはその仕組みを、「PPSをやりたい人皆さんに、クラウドで解放しますよ」と。つまり、一部利用料だけいただいて、「自分でつくるよりも格安ですよ」というビジネスも、やっていきます。そうすると、今度は皆さんが使ってくれるほど、僕らの利用料も下がっていくわけです。
 他のPPSは結局、経営努力として、「電気代の仕入れを下げていくこと」しかできません。でも僕らは、「ITコストを下げていく」というところの努力もできるから、実は「安く売るところでの競争力」もあるんです。

—従来の業者、新規参入の方々にしても、みん電が安いコストでクラウドを解放することで、本当の意味での電力自由化が当り前になりますね。

大石 だから、「そんな安いならオレもやるわ」と皆さんが使ってくれれば、色々な人がPPSができて、全体が盛り上がっていくわけです。そうやって発電支援したり、直接電気を売ったり、仕組みを貸し出したり、そうしていければと思います。

ー楽しい世の中になりそうです。

大石 あともう一つだけ取り組みがあります。
 それは今後、例えば「風力で焼いたパン」とか、「その電気の質によって、こういう商品ができましたよ」という、今お話したような、ソーシャルエネルギーでできた商品を広めていきます。
 チョコレートでも、「小水力のエネルギーでできたチョコレートは違うよね」というようなことで、それが売りになるようにしたいし、逆にそういう商品を僕らがネットワークで売っていく。そういう仕掛けもやっていきたいなと思っています。

—何年くらいかけて、私たちの意識は変わっていくんでしょうか?

大石 長い道のりだと思います(笑)。

—もしかすると、ちょっと気がつけば、早いかもしれません。

大石 スタイルで広がると、すごく早いと思います。最近なら、パソコンにも「ソーシャルエネルギー」ってステッカーを貼ってもらうとか(笑)。それで聞かれたら、「オレ、電気、違うからさ」みたいなことや、ステッカー貼ってることで知らない人同士が仲良くなったりすると、いいですね。


PHOTO BY 渋谷健太郎
TEXT BY 平井有太(マン)

平井有太(マン)プロフィール
1975年、東京、文京区出身。NYの美大、School of Visual Arts卒。フリーのライターとして各種媒体、国内外の取材を重ね、2012年10月より2年半福島市に在住。著書「福島 未来を切り拓く」(SEEDS出版、2015年)には、ドイツのエネルギーシフトを牽引した元・欧州緑の党共同議長、ダニエル・コーン=ベンディット氏のインタビュー収録。福島大学FURE客員研究員。共著「農の再生と食の安全 原発事故と福島の2年」(新日本出版社、2013年)。2013年度第33回日本協同組合学会実践賞受賞。

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