#70  経済的な理由で学びたい意欲を諦めない!学費を抑えた希望の高校選びのコツ【後編】

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「希望の高校に行って勉学に励みたい」という想いを持ちながら、家庭の経済的な理由で希望校への進学を諦めている子どもたちがいます。でも実は、できるだけお金をかけずに、学びたい意欲を尊重して必要な教育を提供する方法もあるんです! その一つとして、前回は東京都の私立高校無償化について、制度内容や注意点を詳しくご紹介しました。

後編となる今回は、できるだけ学費をおさえた希望校選びについて、海外進学も視野に入れて見ていきます。

大学進学を見据えた高校選びを

高校を選ぶときに重要となるのが、目先の3年間だけでなく、その先の大学進学も見据えた長期的なビジョン。高校入学から大学卒業までをトータルで考えて、できるだけ学費をおさえながら希望するジャンルの勉強に打ち込むためには、どのような学校選びをするといいでしょうか。

私立高校の特進コースで大学受験対策

どんなに勉強する意欲がある子でも、周りの環境に流されてしまうことってありますよね。そのため、勉強を頑張りたいと心に決めたら、大学進学に対して熱心な高校や、難関と言われている大学合格を目的としたいわゆる特進コースを目指すことは、一つの方法です。

特に私立大学の特進コースは、少人数制のマンツーマンに近い形で学習指導してもらえる環境にあり、学校の期待を背負って大きくチャレンジができる点が魅力です。

一日の大半が勉強時間となるため、部活動に入れない、勉強以外のことを楽しむ余裕がないと感じることがあるかもしれませんが、大学進学に向けて思う存分勉強に取り組め、学校でしっかりと学ぶことで塾や予備校代を節約できるというメリットも。

なお、東京都の公立高校と私立高校の授業料は次の通りです。

やはり、私立高校は公立高校よりもかなり費用が大きいことがわかります。

ただし、前回の記事でも述べたように、東京都では私立高校の授業料無償化制度がスタートしていて、年収目安約760万円までの世帯に対して、国の制度である「高等学校等就学支援金」とあわせて最大44万9,000円が助成されるようになりました(平成30年度の場合)。自分の偏差値ギリギリの公立高校を目指すよりも、助成金制度を利用して少し余裕のある偏差値の私立高校で特進コースを目指すというのも、大学進学を見据えたひとつの選択肢と言えるのではないでしょうか。

系列・付属大学がある高大連携の高校を選ぶ

大学進学を見据えた高校選びのもうひとつのポイントとして、系列大学や付属大学がある高大連携の高校を選択するという方法もあります。

系列の大学への推薦枠などが利用できるので、希望する大学がすでにある場合は特に、その大学の付属高校を選ぶことは夢を叶える近道かもしれませんね。また、系列大学の教授が高校で特別講義をするなど、大学の授業が体験できる点も高大連携校ならではのメリットでしょう。

ただし、いくつかの注意点も。

大学受験の必要がない純付属校のほかに、併設大学への進学が主流ではありながら他大学も受験できる半付属校、多くの生徒が他大学を受験する半進学校など、学校によってさまざまな特色があります。

付属高校での3年間を過ごすうちに、将来やりたいことが明確になり、系列大学以外を希望するようになった場合のこともシミュレーションしておくと、高校卒業後の進路決定時期になって困ることは少ないでしょう。

海外進学という選択肢

大学は日本だけではありません。今後ますますグローバル化していく社会を生き抜いていくために、海外進学を視野に入れることもおすすめです。

さまざまな国の語学習得はもちろん、日本に居てはなかなかできない体験や異文化理解能力が身につくのが、海外進学の大きな魅力。親元を離れて異国で生活することで自己管理力が鍛えられ、新たな価値観も次々と生まれていくことでしょう。

学費が安い・無料の国も

とはいえ、「海外進学は、日本の大学以上に多くの費用がかかるんじゃない?」と危惧している人もいるのでは。実は、必ずしも学費が高いところばかりではありません。

たとえば、ノルウェーの国公立大学は、留学生であっても学費が無料! さらには、ある一定の条件をクリアすれば、返還不要の奨学金がもらえるというケースもあるようです。ただし、物価や生活費などが高いため、学費以外の面も計算しておくことも忘れずに。

ドイツも、学費が安い国として有名です。州によって異なりますが、学費が無料であることも。英語だけで修了できるプログラムもあるようなので、チェックしてみてはいかがでしょうか。

また、近年進学者数が増加しているアジア圏にも注目です。日本人の進学先として、アジアでもっとも多いのが中国ですが、特筆すべきは次いで人気がある台湾。英語はもちろん、多くの企業で需要が大きい中国語が確実にマスターできます。ただし、そもそも授業自体が中国語で行われるので、高校在学中から中国語の基礎を学んでおくと、入学後の大学生活がスムーズに送れるでしょう。そのほか、学費は年間35万円程度、生活費は日本の2分の1程度と、経済的負担が小さい点も魅力です。大学や政府も奨学金を提供していて、なおかつ許可が得られればアルバイトもできます。留学中は就労不可という国もあるなかで、うれしい制度ですよね。また、姉妹校提携が進んでおり、台湾の学費で欧米の大学に交換留学するというシステムもあるので、気になる人は事前に確認しておくといいでしょう。

そのほか、東南アジアのビジネスの中心地であり、高い教育水準を保っていると評価が高いシンガポール、年間の学費が15~30万円と格安なうえ、公用語が英語なので英語漬けの日々が送れるフィリピンも注目の大学進学先。いずれにしても、アジア圏は学費や生活費が日本よりも安くおさえられることが多く、卒業後に現地で働くにしても帰国するにしても行き来しやすい点などたくさんの魅力があります。

海外進学の制度が整っている高校を選ぶ

海外の大学を希望する場合、海外進学を積極的に奨励していて、海外向けのカリキュラムや進路指導に力を入れている高校を選ぶことは、希望の進路への近道です。

たとえば、さまざまな助成金や奨学金などの制度を利用しながら、海外進学に力を入れている私立高校で積極的に情報を収集し、自分の希望に合った海外の大学(できれば学費が安いところがベスト!)への進学を目指すという方法は、現代社会において賢い選択なのではないでしょうか。

おすすめ高校リスト

では実際に、今回お伝えした3つのポイントからおすすめの私立高校をピックアップしてご紹介します。

なお、表記している金額はそれぞれの学校に支払う額です。国や東京都から助成金が出る場合は、ここから助成額をマイナスした金額を支払うことになります。

【特進コースがある高校】

岩倉高校
上野駅から徒歩1分、台東区にある私立高校。地下1階から地上10階建ての「中央館」を中心とした学校内には、2万冊の蔵書をコンピューターで管理する図書館や200名が一度に食事できるカフェテリア、電子黒板を配置し無線LANの環境が整った教室など最新の設備が揃っています。「普通科」には国公立や早慶上理など難関大学を目指す「S特コース」、GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政大学)などの難関私大を目指す「特進コース」、大学進学を中心に様々な進路希望に対応している「総進コース」、指定の部活動に取り組みながら現役で難関大学合格を目指す「L特コース」が。また、全国でも数少ない鉄道関係の教育を行っている「運輸科」が設置されているのも特徴的です。

授業料(年額)444,000円(普通科)
初年度納付金(総額)874,000円

東洋高等学校
千代田区にある私立高校。地下2階から地上13階のキャンパスには、LANによるインターネット、メディアコーナーなど先端技術が網羅されています。学科コースとしては、首都圏の国公立大学現役合格を目指す「特進選抜コース」、国公立・難関私立大学を目指す「特進コース」、中堅大学をはじめ多彩な進路に対応している「総合進学コース」があります。
毎年、4日間を3タームに分けた夏期講習を実施しており、費用は無料なので、実に80%の生徒が参加しているのだとか。苦手科目の克服から得意分野の強化がはかれると好評です。

授業料(年額)444,000円
初年度納付金(総額)950,000円

【系列・附属大学がある高校】

国際基督教大学高等学校
小金井市にある私立国際基督教大学の付属校の一つで、通称「ICU」と呼ばれています。総生徒数のうち3分の2が帰国子女を占めている国際色豊かな高校。国際基督教大学への推薦枠は学年の3分の1(80名)、それ以外の国公立大学や有名私立大学、海外大学など進路は多岐にわたり、現役合格率は約90%を誇ります。部活動では特に文化系が盛んで、映画「スウィングガールズ」のモデルのひとつになったと言われている器楽部や、数々の音楽大会に出場して結果を出しているコーラス部など多彩なラインナップが魅力です。

授業料(年額)591,000円
初年度納付金(総額)1,101,000円

専修大学付属高等学校
杉並区にある専修大学の付属校。生徒の8割以上が専修大学に進学しています。高大連携により様々なプログラムが企画されていて、学校行事で専修大学の施設が利用できるほか、3年次では大学で開講されている講座を受講できたり、部活動においても積極的に交流を行ったりと、高大7年間を見据えた教育が受けられます。「専修大学進学コース」、「他大学受験進学コース(文系・理系)」に分かれ、また土曜講座として受験対策の講座や資格取得を目指す講座を開講するなど、希望の進路に向けた様々なバックアップがあり、一人ひとりの力を着実に伸ばせる学習プランが準備されています。

授業料(年額)420,000円
初年度納付金(総額)875,750円

【海外進学に力を入れている高校】

郁文館グローバル高等学校
文京区にある私立高校。英語教育に力を入れていて、「一人一校一年留学」をモットーに高校1年の冬から約1年間、全員が留学経験できるのが特徴的です。現地で取得した単位を郁文館グローバル高等学校の単位として認定できるので、そのまま3年生に進級できる点もポイント。生徒数123名のうち、毎年30~50名が海外の大学に進学しています。その他、国公立大学や難関私立大学への進学者も多く見られます。

授業料(年額)477,600円
初年度納付金(総額)918,600円

関東国際高等学校
渋谷区にある私立高校。創立94年を誇り、「関東」または「関国」という愛称で親しまれる国際高校です。外国語科(英語コース/近隣語学コース)と普通科(文理コース/日本文化コース)があります。インターネットを通じて世界21カ国のメンバーと交流がはかれる「世界教室」や、「短期留学・現地研修」など国際教育プログラムが充実しています。卒業後は、アメリカやカナダ、イギリス、台湾、韓国、タイなど世界中の大学へ進学している生徒も多く、海外大学への指定校推薦枠もあります。

授業料(年額)378,000円(普通科)/438,000円(外国語科)
初年度納付金(総額)812,500円(普通科)/872,500円(外国語科)


子どもたちの可能性は無限大。ぜひ一度、将来の夢を親子でゆっくり話し合い、利用できる制度はもれなく利用して、納得のいく進路先を見つけてください!


※学費は東京都の報道発表を参照しましたが、変更になる場合があります。事前に各高校にお問い合わせください。

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