#39
パラダイスアレイ ジュンペイさん

ハッピーエナジー取材班は鎌倉に向かっていました。行き先はパラダイスアレイという名のパン屋を経営するジュンペイ君にインタビューをするためです。自由に好きなことでビジネスとして自立して実現している人に話を聞きたい。その思いと、前向きなエネルギーの源を知りたい。そんな思いからモロッコのマラケシュの市場みたいな農協連の即売所(通常「レンバイ」)内のお店でハーブティーを飲みながらインタビューはスタートしました。
ーいつごろからお店をスタートさせたんですか?
ジュンペイ:もともとここを始めた時は30歳だったんですよ。それまではスプートニクって海の家を友達とやっていました。その前はフラフラ定職につかずですよね(笑。
—僕たちも同じように朝まで踊っていた感じですね(笑。
ジュンペイ:それで結局、どうしようってなるんですよね(笑

朝まで踊って、さぁどうしよう
ジュンペイ:普通には働きたくないし、働けないってことはあって。それまではどうやって社会と関わらないで生きていけるか見たいな。
—ある意味社会不適合者なりの世渡りといいますか。
ジュンペイ:「遊び続けるにはどうしたらいいか」みたいな事しかなくて。その中でスプートニクのバスのツアーが終わって。この先どうしようかと、夢から覚められず。みたいな感じです。
遊び続けるにはどうしたらいいか
ジュンペイ:家のジーちゃんバーちゃんが百姓だったのもあって。この場所はレンバイ所といって、たまたま農家の人が直接野菜を売りに来る場所なんですけど。4班あってローテーションでやっているんですよ。100年近く歴史があるみたいです。
—この建物が出来るずっと前から野菜を売っていたわけだ。
ジュンペイ:戦前からあったみたいです。この場所で屋台をやりたいなーと思って。夕方みんな帰ったら場所も空いてるし。屋台ぐらいなら自分でも出来るかなって感じですね。だから、店をやる感じでもなくて。店をやると大変そうだし。
—店にもいないとダメですからね。
ジュンペイ:地元で何かやるって諦めていたというか、逆に外の外に言うのがあって。でもスプートニクのバスツアーで日本廻って、いろんな人と話をして、どこから来たかって聞かれるじゃないですか。それで「鎌倉」っていうと、来たことあっても無くてもイメージ出来るじゃないですか。でも、僕は生まれ育って見てきたものだからギャップがすごいあって。良いところも悪いところも逆に見えてきたりして。その頃、この場所なら使って良いよ。みたいなね。

バスで日本を廻って気づいたこと
—最初からパン屋をやるというイメージでしたか?
ジュンペイ:もともとオフクロがパンとか料理の教室をやっていて、家の手伝いの延長と19歳の時に10ヶ月だけパン屋で働いたことがあって、そこはクビになったんだけど(笑。
—社会に馴染もうとした時期もあるんですね(笑。
ジュンペイ:それは親に無理矢理断れない理由があって。それでね(笑。
その頃はパン屋なんかやりたいと思ってなかった朝早いし。でも場所は作りたかったというか、結局鎌倉って文化都市だとか言われつつも、現在進行形のところが薄いというか、中途半端な観光地にしか感じられなかったし。

鎌倉を現在進行形の文化都市に
—過去の遺物に乗っかるだけで。みたいな感じですかね。
ジュンペイ:その割には残ってないというか、自分がいいと思うところはどんどん壊されていくというか。ここで何かを始めることによって、社会と向きあっていくリハビリみたいな感じだったんですよね。
—自分の経験したことと調和の取れる関係ですかね。
ジュンペイ:それで始めて地元と向き合って、個人で言ってもどうしょうもない部分もあって。法人にしたら役所とも話せるし、何とかなるんじゃないかということで、このルートカルチャーっていうNPOを立ち上げて今に至るんですよね。
ここも最初の何年間はパンの置いてある休憩所。値段も名前も出していなくて焼けたパンをただ置いているだけ。みたいな(笑。まわりからすると、嫌な感じのパン屋だと思われてたと思いますよ(笑。
—実は理由があるんですけどね、かっこつけてみたいな(笑。
ジュンペイ:説明するのも面倒くさいしね。
—このお店だけでなりあいは成立してるんですか?
ジュンペイ:していますよ。
—パンは電気で焼くのですか?
ジュンペイ:今はそうです。結局、薪で窯を作って実家の奥でやったりしたんだけど、今となっては薪も汚染されていて、今は使えないみたいな。
—放射能問題ですね。
ジュンペイ:放射能汚染で薪についたものが濃縮されて、500度ぐらいまでだと全部灰に残るんですけど、それを超えるとスチームだと外に出ちゃうし、その灰を畑に撒けば良かったけど、それも出来ないからどーするの見たいなね。結局、そのために遠くの薪を持ってきて、場所をキープしてとか考えるとね。
—なるほど、どこに行っても問題はあります。
ジュンペイ:それぞれの場所の問題とどうやって向き合っていくかですよね。

—気にしすぎても頭がオカシクなるし、逆に気にするのをやめたってのもね。その辺りはエネルギーもそうだけど、どうやって向き合っていくか。そこは繋がっていると思います。
ジュンペイ:やっと僕も、そこに向き合い始めたというか。
—ところでパンを焼くのは楽しいですか?
ジュンペイ:薪の窯は火を炊いて熱の滞留で焼いていくんですけど、パンの場合は1回全部出して、500〜600度くらいまで上げたやつを徐々に下げていく・そのバンの焼ける一番の温度帯と時間帯が限られていて、そこに発酵具合をどれだけ合わすか見たいな。
—すごいなー奥深いなー。
ジュンペイ:パンのことだけ考えると効率悪いというか、温めた時にピザを焼いて、終わったらパン焼いて。パン焼けない温度になるとケーキを焼いて、野菜焼いて、肉焼いてみたいな。

奥が深〜いパンの世界
—計画性も必要なんですね、知りませんでした!
ジュンペイ:そうするとすごく効率が良くなるみたいな。でも計画とか全く出来ないから。それもリハビリだなと思って(笑。
—それまでのモチペーションはなんだったんですか、何かの表現みたいな感じですか?
ジュンペイ:表現というか、もともと金に恵まれたこともないし、食べるのに困るのも、旅に行けば瞬間的にあるけど、いまだに実家は近くにあるし。そんな意味ではすごい恵まれてるじゃないですか。
—人の繋がりもありますしね。
ジュンペイ:最初はお金に対してのエネルギーというか、今は良いエネルギーと思って向き合っていけるけど。その稼ぎ方が一般的なやり方は飲み込めなかったというか。
—やりたくはないよね(笑。
ジュンペイ:そうじゃない方法で始めたのに、そこで結局、自分が給料をもらって何とかするためには、何個パンを作らないとダメかとか、何回か計算したこともありますけど。そうすると気が遠くなるというか、それは全然無理だわって。

お金のエネルギーを考える、そして菌の世界へ
—パン屋を始める原点は何だったんですか?
ジュンペイ:お店をやりたいって始めたわけじゃないけど、場所は欲しかったですよね。
—出来ることからやろうとということですかね。
ジュンペイ:そこからパンに対しての、店はじめて3年ぐらいでドハマリしたというか。
—パンを作ることにですか?
ジュンペイ:発酵の世界だよね。発酵の凄さに。店はじめた頃は菌の世界と自分たちの世界が区切って考えていた部分があって、そこがはじめて繋がった瞬間は、、、。いっちゃえば全部、菌みたいなことだからね。
—そうなってきますよね!世の中全て菌だらけですからね(笑。
みなさん、いかがでした?!インタビューは盛り上がりお店オープンの流れからパワーオブテンのように菌の話にフォーカスしていきます。パート2になる菌のお話も準備中です。ご期待ください。

パラダイスアレイ Paradise Alley Bread & Co.
鎌倉市小町1-13-10
10:00-19:00(モーニングは11:00まで) 日曜営業・不定休
http://cafecactus5139.com/paradisealley/