#25  『エネルギー自由化後の未来像と社会変革』大西恒樹(フェア党代表)さん

横浜の青葉区を中心に街頭演説で熱心に声をあげる フェア党 代表の大西恒樹さん。大西さんは自ら政治団体であるフェア党結成。行き過ぎた競争を強い、格差を生みだすだけの資本主義に代わる、共存共栄、フェアで持続可能かつ自由で平和な社会を作るための新しい思想を掲げてアクションを起こしている。今回は大西さんのインタビューからエネルギー自由化後と日本の未来像に迫ります。


— 最初にボク達がクリーンエネルギーについて取材して思ったことの1つに、社会変革のアクションをおこしてる人は確かにいて、それは大西さんの活動も同じで、等身大の自分一人で出来る所から確実にやってるように見えるのですが。エネルギー自由化について大西さんは、どうお考えでしょうか。

大西:電力の自由化に関しては高圧の大きい所から次第に自由化が始まって低圧に関しては時間がかかって延ばし延ばしになっていましたね。大きな考えで言うと何でも民営化すればいいわけではないんです。電力、水道、ガスも交通もそうですが全部民営化して下手すると水道なんかも民営化しようとしていますよね。


— 民営化の先に何があるのかということでしょうか。

大西:民営化したって東電の次は東京ガスで、その次は孫さんのソフトバンク。大きな所が持って行くんです。それによって発電方法が変わるメリットはあるかもしれないけど、お金の論理で動かしてはいけない物を動かして行くと結局、規模の論理で市民派の小規模な所は基本的に負ける仕組みになっていきますから。

— 正直、そこを変革したいです。

大西:まずエネルギーを化石燃料から変えないと原発も含めて。そして新しい再生可能エネルギーに変えないといけない。しかし、その問題意識があっても金融の仕組みと資本主義の仕組みが時間と余裕を奪っていくのです。

— 具体的にどうしたらよいのでしょうか。

大西:そこは80年代からの間違った規制を取っ払って政府が新しい規制を作る。全部民営化しても結局、規模の論理が働いてしまうので小さな新電力会社にしっかりと補助金を出してね。小さい所も大きい所もフェアに競争できる仕組みを作って行かないと。人間は得意も不得意もあるのに全部一緒に競争させられたら、そもそもフェアじゃないでしょう。

— それはフェア党の由来でもあります。

大西:特に電力水道ガスは人の生き死にに関わるものです。規模の論理でなく、何が大事か。水ならば安全な水が一番大事なんです。それに対して結局民間の論理はどれだけ儲けるかです。全く無差別に競争させられたら、おかしな事をやりだしますよ、食品はどれだけ賞味期限を延ばすとかね(笑。

— 最初はボクたちもエネルギー自由化で広がるポジティヴな思いで取材していましたが、ガスも電波も今後は自由化なると知りました。そこで、これって本当に良い事なのかと思い始めたんです。自由化の先に何があるのかって。

大西:今のコーポラディズムの企業統治主義、企業第一主義の中での自由化っていうのは人間を隷属させる仕組みです。要するに自由な荒野の状態。力の強い者だけが持っていくね。

— それって自由すぎてノールールってことですか。

大西:企業の自由と個人の自由は全く資本主義の中で相容れないんです。企業がわがままになればなるほど個人の自由は抑圧されて行くんです。資本主義は資本を集約していく事によって、決定権をごく一部の人たちに集約して沢山の人たちが従うようになっています。確かにそれで良い時代もありました。資本を集約する事によって効率的にたくさん物を作れば人が幸せになれる時代が。

— それはアメリカンドリームだったり、日本の高度成長期ジャパニーズドリームってことでしょうか。

大西:そうです。物がない時代の発想ですから。第二次世界大戦で物がぶっ壊されて、作って売って人が幸せになった時代は良かったんです。しかし、そんな時代は終わって資本を集約し続ける仕組みだけが動き続けています。日本なんかたくさん作っても売れないのに、ひたすらやっているわけです。

— 物がいっぱいあるのに手に届かない人達もいて、子ども食堂が数年前から少しずつ増えて来ています。それと同じようにボランティアやりたい人の問い合わせも多いです。

大西:資本主義のしくみが人を奴隷化するんです。現場で問題意識を持って動いている人が、本質的におかしいことに具体的なアクションを起こしているんですが、根源を辿っていくと今の資本主義や金融主義にたどり着いてしまう。ここ数十年でさらに広がっているので、どう戦うか考えないと行けない時期が来ています。

— ボクらは参加しやすい場所でソーシャルアクションを開始したりして電気の問題だけじゃなく、僕らが生活者として行動を変えて行かないことには、何も新しい事は生まれないと思っています。未来を危惧しながらも出来る事をとりあえずやって行こうと考えています。そして、そこから見えてくる未来像をwebから発信して行こうと考えています。

大西:みんなの考えを変えて行くと一気に変わると思います。本質的に起こりつつある変化が日本だけでなくて世界中にあって、何十億という人が飢餓で死にかけて、とんでもない格差が広がり世界のバスに乗れる62人がボトムの50%の資産をもってる訳です。

— こんなバカな話ないだろうとみんな気がついて来ました。

大西:それに対して戦いに真剣に挑むという人達が出てくると大興奮ですよ。そしたら一気に政治が動くんです。アメリカの大統領選でサンダースが今までの金融資本主義はおかしいと言い出したので凄い数の人が集まりました。選挙があって僕が勝てば日本は変わると思います。そして勝てば小さな風穴が空いて、大きくなると思っています。本気でそんな奴らが出てくると一気に動き出しますよ。

大西恒樹
株式会社インフォマニア代表取締役 JPモルガン、バンカース・トラストで外国為替、株式、債券先物などをトレード。96年退社後、株式会社インフォマニア設立、同代表取締役。IT事業、飲食店を経営。2011年、政治団体「日本一丸」を設立、2015年名称を「フェア党」に改称。同代表。

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